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成長痛はケガの一種。改善に必要な3つの見極めと予防の方法とは?

アスリートは痛みを抱えた状態で100%のパフォーマンスを発揮することはできない。それは育成期の選手も同じだ。練習に集中することも、公式戦で実力を出し切ることもできない。当たり前の話だが、成長痛はケガにも関わらず、単なる痛みだと間違った解釈をされ、治療をせずに練習や試合をさせているケースが見受けられる。

人体構造から研究した「アシトレ」という独自メソッドを構築し、子どもからアスリートまでをサポートする治療家の染谷学氏に聞く「成長痛とパフォーマンスの関係」。後編は「改善と予防」をテーマにケガから復帰までの見極め方、予防のための正しい歩き方、そして自宅でできるセルフケアについて解説してもらった。(文・木之下潤)

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ケガの改善には3つの見極めが大事!

「ケガの改善と予防には2つのポイントがあります。それは見極め方と歩行です」

後編の冒頭で、治療家の染谷学先生はそう語った。そもそも人間は二足歩行で生活している。前編では、正しい起立姿勢が「ケガの確率を減らすために必要」な人体構造から見た基本姿勢だと伝えたが、人は二足歩行という不安定な状態で移動するため、ケガのリスクを完全に「0(ゼロ)」にすることはできない。そのため、正しい姿勢から正しく歩くことを身につけることがスポーツ活動の基本になる。

では、痛みがあり、ケガの可能性がある場合にどういう見極め、改善過程を歩めばいいのか?

その見極めには、3つの段階がある。

1.ケガの見極め
2.対処の見極め
3.活動の見極め

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1の判断基準は、「正しい起立姿勢をとったときに痛みがあるかどうか」だという。正しい姿勢になると痛みがなくなる。正しい姿勢なのに痛いがある。前者の場合は活動して差し支えないそうだ。後者の場合、1日経過して痛みがなくなれば活動してもいいが、痛みがある場合は安静にし、次にどう対処するかを考えなければならない。

当然、安静にする場合でもケガの度合いは軽度から重度まである。どの状態かによって医療機関の受診が必須な場合、サポーターなどをつけたり治療したりして軽度な練習が可能な場合があり、それを見極めることが大事だ。

ケガ=安静

間違いではない。ただ最近では、逆に「休めたら治るだろう」というふうに素人診断を下してしまい、ケガを悪化させてしまうケースも増えている。もちろん痛みでどうしようもできない、正しい姿勢や歩行を保っても痛みがある場合はほぼケガであることが間違いないため、医療機関を受診し、病名を特定しなければ適切に治療しようがない。

ガマンすればプレーできる。
がんばればプレーできる。

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少しの痛みならこう捉える指導者、保護者は今もいる。こういうスポーツ界の悪しき考え、根性論を選手に押し付けるのは治療の観点から言っても間違いだ。ケガのままプレーすることはマイナスにしか働かない。一生、元に戻らない体になる可能性もある。これは大げさに言っているわけではない。

だから、指導者も保護者も成長痛を含めてケガへの正しい知識を持ち、見極めることが大切だ。

正しい歩行ポイントの一つは脛の状態

ケガのリスクを減らすには、正しい姿勢、正しい歩き方が欠かせない。前編でも説明した通り、地面と接地している足の使い方は歩行においても最重要ポイントだ。

では、足を使えるようになる歩行にはどんなポイントがあるのか?

・ニーインをしない
・正しく指先を着く
・股関節の開き
・みぞおちの角度
・脛(すね)を倒す
・膝(ひざ)を前に出さない

この6つが正しい歩行のポイントだ。このことは裏を返せば成長痛防止のポイントでもある。

「歩行ができている選手のボールの蹴り方と歩行ができていない選手のボールの蹴り方を動画撮影して比べると一目瞭然でハッキリとわかる違いがあります。それは軸足の脛の角度です。歩行ができていない選手は脛が前に倒れないため、上半身が後ろに下がってしまうんです」

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続けて、染谷氏は治療を施す改善過程を写真で見せながらこう話した。

「治療には二段階あります。まず、足の指が使えるように足趾を中心に施術します。すると、起立姿勢に変化が現れます。お尻が上がった状態になり、骨盤の位置が人間本来の元の状態に戻ります。ここから歩行訓練を行うと上半身までの連動性が出始めるため、胸や肩の力が抜けて脱力感が生まれます。そうなると人間本来が持つ理想的な姿勢がとれるようになります」

実際、独自に歩行訓練をするには、人体構造に則した6つのポイントを細かく見る必要があるため、一人で客観的に行うことは難しいという。ただバランス矯正から始めるという意味で、「足趾改善」に向き合うことはできる。そこで、自宅でできる2つのセルフケアを提案してくれた。

・立方骨を1日10秒押さえる
・タオルギャザーを1日10秒間
(タオルの先に2㎏程度の重りを置く)

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この2つは姿勢改善をするセルフケアになるため、練習後に実践しても意味がない。練習前に行い、人体構造上において人間本来の姿勢に戻した上でトレーニングをすればケガの可能性を減らすことができる。

正しい起立姿勢は足趾から行われている

例えば、姿勢の悪い人が歩行をする際、一歩目から間違った足の状態になっている。それは「膝→脛→人差し指」が一直線上にならず、「膝→脛→中指」が一直線上になっていて内旋を起こした状態=「ニーイン」の状態になっているそうだ。一歩目から捻った状態で歩くので、次も捻りが加わり、その次も...この状態を連続すればケガのリスクが高まることは想像に難くない。

では、一歩目がどう機能すれば理想的な歩行に近づけるか?

ニーインを起こさないように脛を人差し指方向に倒せば、自然に足裏が小指から親指へと地面に着くように機能する。そうすると膝が突っ張らずに前に出る。脛を人差し指方向に倒すと勝手に膝は曲がるようになるという。

最後に、染谷氏がCOACH UNITED ACADEMY読者に向けてメッセージをくれた。

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「ケガは選手にとって機会の損失につながります。育成期の選手が練習、試合の機会を失えば上達の機会も、パフォーマンスを発揮する機会も持つことができません。何より選手たちはスポーツを楽しむ機会を失うことになります。

私はあらゆるコーチが指導していることに間違いはないと思っています。ただし人体構造上、間違った姿勢、間違った歩行でトレーニングを行ってしまえば無駄な動きや無駄な負荷がかかるため、ケガにつながることを指導者や保護者が知っておかなければいけないことが前提です。

まずは正しい起立姿勢が足趾から行われていることを知り、ケガのリスクをなくした上でトレーニングをすることがスポーツ活動の基本だと理解してもらえたらと思います」

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【講師】染谷学/
鹿屋体育大学卒業/学生時代は柔道を専攻。 自身が多くのケガを経験し、サポートしてくれた柔道整復師に憧れ、「治療家」の道を進む。 柔道整復師として2019年11月末まで都内で整骨院を営む。アスリートサポートの増加に伴い、整骨院を閉院。「足底からこだわった全身改善」「人間の足底=土台づくり」をテーマに、現在は埼玉県に「アシカラ改善院(自費診療)」を構えて、一般の方からプロアスリートまで老若男女を問わず診ている。

【院の特徴】
①1分以内での超短時間施術
②人体構造上正確な起立と歩行指導

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【主な活動】
▶ オルカ鴨川FCメディカルサポート(2019年)
▶ 都立高校サッカー部メディカルサポート(2017年~)
▶ アスリートサポート(パーソナル)
▶ チーム向けセミナー(インソール講習会、靴の選び方等)