TOP > コラム > U-8年代の選手がサッカーを楽しむために指導者が意識すべきトレーニングとコーチングのポイント

U-8年代の選手がサッカーを楽しむために指導者が意識すべきトレーニングとコーチングのポイント

「自分の指導に自信がない」「いまのままでいいのだろうか」「指導を学びたいけど、世の中に出回っているのはレベルが高いものばかり・・・」。そんな悩めるお父さんコーチに向けて、COACH UNITED ACADEMYは新企画をスタートさせた。

それが育成年代のスペシャリスト、池上正氏による「指導ビギナーに向けた動画配信」である。前回の記事では「ジュニア年代の問題点」「サッカーの性質」「トレーニングの組み立て方」など、指導をする上でのベースとなる考え方を、池上氏にレクチャーしてもらった。今回の記事では「U-8年代の選手を指導する際のポイント」をテーマに、これから公開される動画の一部を紹介したい。(文・鈴木智之)

この内容を動画で詳しく見る

ikegami02_01.png

U-8年代の選手には「サッカーとはどんなスポーツなのか」を理解させる

動画は「トレーニングに対する指導者のスタンスや考え方」からスタート。前回の記事でもお伝えしたように、指導に対する考え方を理解せずに、練習メニューをコピーしてやらせてみても、育成の本質から外れてしまう。

池上氏は「U-8やU-9といったサッカーの入り口の年代では、まず『サッカーとはどんなスポーツなのか』を理解させることが大切です」と話す。

「サッカーはチームでするゲームです。ひとりでやるものではなく、どうすれば仲間と協力できるかを、子どもたちに理解させることから始めましょう。コーチが『協力しなさい』と命令するのではなく、『協力するってどんなことだろう?』と問いかけながら進めていくと良いと思います。そして3対3などゲーム形式の練習を通じて、様々なことを獲得できるように導いていきます」

ikegami02_02.png

サッカーを始めたばかりのU-8、U-9の子たちは、ボールを上手く蹴ることができない。その様子を見ていると、ボールを1人1個持たせて、個人での基礎練習をやらせたくなるが、池上氏は「ウォーミングアップ時ならいいですが、1人でのトレーニングはできるだけやらないように。2人以上の複数でやるトレーニングを考えましょう」とアドバイスを送る。

ikegami02_03.png

「3対3などの少人数でゲームをすると、みんながボールに触れることができます。私の友人のミゲル・ロドリゴ(元フットサル日本代表監督)は『1日の練習で、1人に最低1回はシュートを決めさせる』と言っていました。点をとるとうれしいので、どんどんサッカーをしたいという気持ちになるからです」

コーチングのポイントは「味方と協力すること」を意識させること

そこで池上氏はトレーニングの一例を挙げる。

「たとえばミニゴールを4つ置いて3対3をすると、左右どちらのゴールにもシュートを打てるので、たくさん点が入ります。そうすると子どもたちは楽しくなります」

その際に意識させるのが、「1人で点を取ることを考えるのではなく、チームのみんなで協力して点を取ること」だ。

ikegami02_04.png

「サッカーはひとりでするものではないので、味方がいることを意識させましょう。『パスをしたらチャンスが広がりそう?』『味方を助けてあげたらどう?』などと問いかけながら、子どもたちに気づかせていきます」

この「問いかけ」が、ジュニア年代の指導をする上で大事なポイントだ。指導者がああしろ、こうしろと指図したり、最初から正解を教えてしまうと、サッカーに必要な「考える力」を養うチャンスを逃してしまうことになる。

「トレーニング中は、選手に気づかせるような問いかけや言葉がけをしましょう。いまどうなっているか、どんな状況かを子どもたちが気がつくことが大切なのです。そうしないと、子どもたちのプレーは変わっていきません」

ikegami02_05.png

池上氏はそう話し、具体的なフレーズを紹介する。

「いまどんな状況?」「どうなったほうがいい?」「どうしてやりにくいのかな?」「やりやすくするにはどうすればいい?」「点を取るためには、どこにいたほうがいい?」「点を取られないためには、何をすればいい?」

このように問いかけると、子どもたちは考え出し、『僕はこうする』『きみはこうしてよ』と意見が出てくるという。

「チャレンジして、うまくいかないと違うことを考えます。その過程で子どもたちは育っていきます。指導者が答えを教えて、それしかできない選手になると、上のカテゴリーに行ったときに困ってしまいます。子どもたちが自分たちで解決する時間を作ってあげて、ゆっくりと育てて欲しいと思います」

ikegami02_06.png

実技の動画では「U-8年代の選手に、すぐに実践できるトレーニング」と題し「トレーニングの全体像の解説とゲームの実践」「周りを見ることの重要さを知る」「2人での関係性を理解する」などのテーマに基づいた動画が7本公開される。

トレーニングでは「団子サッカーにならないようにするにはどうするか」「協力してプレーするとはどういうことか」などにフォーカスし、「3対3 4ゴールゲーム」「パスゲーム3人1組」「2人組でのパス交換」などのテーマに沿ったトレーニング動画があり、トレーニングのポイントと、池上氏の指導実演が収録されている。1つの動画は約10分程度なので、隙間時間や練習の直前にチェックすることも可能だ。

ikegami02_07.png

これらは、育成年代指導のスペシャリスト、池上氏の指導実演が余すことなく収録された、貴重な動画である。練習メニューだけでなく、どのようなタイミングで、どのような声掛け、問いかけをするのかなど、参考になる部分がたくさん収録されているので、ぜひチェックしてみてほしい。

この内容を動画で詳しく見る

【講師】池上正/

大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。 12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさい サッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。